[CEDEC 2015]ビジネスモデルを変えなければコンシューマゲームに未来はない,モバイルはブラックホールに? テクノロジーからゲーム業界の未来を探る

「CEDEC 2015」で、今後のゲーム業界の技術動向の予測についての講演がコナミのWorldwide Technology DirectorであるJulien Merceron氏により行われました。
講演者はコナミの人間ではありですが、スマホ推しのポジショントークではなく技術者としてのフラットな意見のようで、なかなか興味深い内容となっています。

[CEDEC 2015]ビジネスモデルを変えなければコンシューマゲームに未来はない,モバイルはブラックホールに? テクノロジーからゲーム業界の未来を探る - 4Gamer.net
2015年8月27日,神奈川県・パシフィコ横浜で開催された日本最大のゲーム開発者会議「CEDEC 2015」で,ゲーム業界の技術動向を探る「ネクスト・レベルに到達するためのテクノロジー戦略 A technology strategy to reach the next level」と題した講演が行われた。講師は,Konami Digital EntertainmentのWorldwide Technology Directorを務めるJulien Merceron氏だ。
●モバイルの動向
 そのモバイルでは,レッドオーシャンからブラックホール化が進むとMerceron氏は警告している。市場の過密化→差別化が必須→製品価値の向上へ→開発費と顧客獲得単価の増大→収入減→事業失敗という「わたるが死んじゃう」展開が今後5年間で繰り広げられるとしていた。
 それだけでなく,モバイル事業に傾注することで技術やアートのノウハウがモバイルに特化し,先端的な分野から置いていかれる危険性も指摘された。氏はこういった競争力の低下をブラックホール化と呼んでいる。
●e-Sportsの動向
 ユーザー獲得のためのコスト向上に対して,その一策として挙げられたのがe-Sportsだった。日本人的な感覚では「?」マークが浮かぶ人も多いのではないかと思う。実際,講演後の質問でもあったのだが,曰く「今後,顧客獲得単価が高騰していくが,e-Sportsには一定の集客効果があり,しかもリテンション(継続率)が高い。選択の余地などない」とのこと。
 確かにe-Sportsの需要は増えており,それによって成功しているタイトルもある。今後のビジネスでは,新たな収益源になる可能性もあるという。とくに観客モードの導入にチャンスを見出しているようである。
●次のブルーオーシャンはどこか?
今後,モバイルのレッドオーシャン化が進んでいくことはすでに述べられたとおり。現在のゲーム業界(とくに日本)は,モバイルに支えられている面もあるのだが,それが覚束無くなってくる可能性があるわけだ。モバイルゲーム市場自体は拡大するとしても,過密化が進めば収益は低下する。では,次のブルーオーシャンはどこだろう。
 氏は,アジアではコンシューマゲームとPC,欧米ではPCゲーム市場だとしている。アジアのコンシューマゲーム市場は急成長しているが,その要因は中国で新世代機が解禁されたばかりということが大きい。つまり,PCが次のブルーオーシャンなのだろうか。
 HTML5により,Webブラウザは巨大なプラットフォームになることが約束されている。制作スタイルも多様化が進んでおり,かなりの有望株ではあるらしい。
●コンシューマゲームはどうか?
 収益性の高さは,AAAタイトルだけの特徴ではない。Free-to-Play(以下,F2P)のビジネスモデルで高い収益を上げることもできる。しかし,その前提として大きなコミュニティが必要で,インストールベースを大幅に改善しなくてはならない。コンシューマゲーム機は現在,1000万から1400万くらいのインストールベースでビジネスを行っているが,新機種が登場すればゼロから始めなくてはならない。これが問題だという。
(中略)
コンシューマゲームのビジネスが進化するためには,インストールベースが「ゼロから始まる」という点を解決する必要がある。たとえば,PlayStation 5が発売されるのであれば,PS5.1,PS5.2といったように互換性を保ったまま進化していく必要があると氏は語っていた。また,そのような進化するプラットフォームでは,機種ごとの差分管理(Androidが大変なことになっているが)が重要になることに注意を促した。

まとめると以下のようなところでしょうか。
  • モバイルは過当競争のレッドオーシャン化が進み、顧客の奪い合いで収益性が低下していく
  • モバイル事業へ特化すると技術レベルが低下し競争力を失う危険性(ブラックホール化)
  • e-Sportsは集客上重要
  • アジアではコンシューマーとPC、欧米ではPCが次のブルーオーシャン候補
  • コンシューマーは新機種への移行時にゼロからスタートするのではなく、インストールベースの積み重ねになるようビジネスを進化させる必要がある
また、クラウド技術の重要性が増していくことや、VR/ARは短期的にはビジネスにならないが次のプラットフォームになる可能性などについても語られています。
とりあえず、「モバイル事業ばかりに力を入れてると競争力を失うよ」というのは雇い主に聞かせてやってほしいところですね。